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一字一句同じ気持ちです。
虐待されて育つと、当たり前のことが分からない。だからいつも不安です。
私はお母さんって言うと、今忙しいのが見て分からんのって叩かれるから、お母さんって言えなくなった。家に帰りたくなくて、先生に見つかるまで、同じような境遇の友達と学校に隠れていた。いつもお母さんの顔色を伺って、お母さんの望みそうな言葉を嘘でも言って、でも絶えず場所が変わる地雷を踏んで、ベルトで叩かれ、飾り棚の中身を投げつけられ、ガラス戸が割れ、椅子が飛んでくるのは日常茶飯事だった。家から追い出されたことも、数え切れない。
来年二十歳になる息子は、小さな頃はお母さんって躊躇なく飛び込んできた。学校から、お母さんって一目散に家に帰ってきて、今日ね、って話しが止まらなかった。今は平気で憎まれ口をたたく。夢に向かって、周りにも協力してもらって、頑張っている。
そんな息子を見ていると、私のような思いをさせなくて良かった、という泣きたくなるくらい嬉しい気持ちと、まともに育つとこんなにも違うのか、という羨望と、いつまでこんな気持ちを持ち続けなきゃいけないのか、という絶望が、綯い交ぜになる。
主人公も、子供が産まれたら、同じ気持ちになるのかな。でもきっと、このご主人なら大丈夫。
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真綿の檻
074話
第36話 -2