2.0
物足りない。
絵はキレイで、とても読みやすい。キャラの表情や演出もその時々の感情をよく表していて、話に入りやすかった。
各キャラ毎の一人称視点をつなげる進め方も、身勝手や理不尽や押しつけやワガママや都合の良い思い込みが、複数の観点から読めることで物語が立体的になり、よりリアルに身近に感じられた。
しかし、主人公、主人公の母の視点に大きく時間を裂く一方で、彼女たちがそのような生き方をするに大きな影響力を放った主人公の父の視点が無かったことで、物語は中途半端な終わり方になってしまったと感じる。ここで終わらず、主人公の父の視点から、典型的な田舎の男の有りがちな苦悩や逃げや自己満足を描いてこそ、そんなものに振り回されながらも強く生き抜こうとする女性たちの美しさが際立ったのではないか。
というか、それが無いためになんとも物足りなさ、不完全燃焼感が残って、薄っぺらい読後感。
ある程度面白かっただけに残念でした。
- 2
真綿の檻