3.0
作者の伝えたいことは分かる。だけど・・・
「もしも」の世界を描くこと自体をとやかく言うつもりはないですが、
過去を変えて翔が死ななかったとしても、その後菜穂と翔が付き合ったとしても。
どんな道を選んだとしても、菜穂は須和と結婚して子供のいる未来になる。
これは貫いて欲しかった、個人的には。
未来は一つしかないし、「もしも」はあり得ないことだと、本当は誰でも知っている。
だからこそ安易に「こっち(翔)も選んでみました♪」みたいな分岐展開はこの漫画のテーマを考えると、少しズレてしまうのではないでしょうか。
そのテーマ(目的)は「翔が救われる」=「翔と結婚する」ではないはずで、菜穂やみんながそばにいなくても立派に生きている、過去を乗り越えて成長した翔を描くべきだったと思います。
翔の周りのみんながあまりに翔に優し過ぎて(甘やかし過ぎて?)正直イライラしました。
何より須和が報われなさ過ぎて、いつまでも守られてばかりいる翔より、健気に奮闘する須和ばかりを応援してました笑
それにこの物語は、菜穂と須和が結婚している未来から始まっています。
きっと、2人の間には私たち読者の知らない、ふたりだけの大切な時間を積み重ねてきたはずです。子供もいますしね。
だからこそ私は、この物語の大枠は最初から「菜穂と須和(+翔)のラブストーリー」だと思って読んでいました。勝手な解釈でしたけど。
そうでなければ、翔が生きている世界では菜穂と須和が結ばれないのであれば、
須和が菜穂と結婚している未来は、単に「翔がいなかったから結婚した」んだと思えてきて、須和は本当に幸せなのかと、疑問に感じてしまいます。
そこはやはり、菜穂と須和、ふたりの時間を否定するような「翔との未来」を描くのではなく、ゴールは必ず「たったひとり」であって欲しかったですね。
総じて、とても感動する漫画だったと思いますが、最後だけご都合主義な感じがして残念でした。須和との未来も、翔の影が最後までチラついていて素直に喜べませんでしたね笑
須和、負けるな。
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