4.0
救われる道は……
父親が亡くなった時が最後の選択出来るドアだったと思う。もしこの時母親が母性を取り戻して娘を包摂していたら、正美も自分の異常性を自覚して普通の女の子として生きていけたかもしれない。
でも既にこの母親にとって彼女は愛しい娘ではなく、おぞましい「気持ち悪い」存在でしかなくなっていた。無理もないと思う。母親が不倫に走ったのが父娘のせいなのはほぼ間違いないだろうし、歪な家庭からの逃避だったのかな…なんてことないかのように笑顔で不倫を語る表情が怖かった。
あと、この作品中では比較的まともに見える、彼女に結婚前提の交際を申し込む48歳上司。あくまでも「比較的」にそう見えるだけで普通に考えたら相当に気持ち悪いです笑
作品の下敷きとなった某事件にも興味が湧いて検索してみたけれど、原発だのフェミニズムだの考察者のフィルターがかかっているものが多くて些か辟易してしまった。そういうのじゃなくてもっとフラットなものが読んでみたいんだけどな。
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堕ちる