この話はワートリの中でもトップクラスの名場面だと思う。
実際、現実社会でアニメの演出にあるような『覚醒』なんて滅多にない。今日出来なかった事が明日いきなり得意になって大逆転なんて有り得ない。
ワートリは漫画ではあるけど、人間の在り方は現実味を持たせようと努力している。故に、アニメ調の覚醒なんてものは滅多にない。それこそ人間辞めてるレベルの主人公、三雲修や、その仲間達ばっかりだ。
ロクローは良くも悪くも人間らしい。
香取の提案を二言目には無下にするのに、自分の意見はすぐに出てこない。その癖負けたら香取のせいで、自分の汚点からは目を逸らす。けれど自分では自分が足を引っ張ってる事が分かってるから、自分の汚点に呪われ続けている。
今回の話でロクローが『覚醒』したとしても、きっとすぐには芽が出ない。出て欲しくはない。作中の年単位で立ち直ってくれるくらいが本物を見ている気になれる。
それぐらい共感出来てしまうから、腹立たしくも、哀れにも、それでいて頑張って欲しいとも思えるキャラになっている。
流石ワートリ。
この言葉に尽きる。
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ワールドトリガー
281話
第247話「若村 麓朗③」