4.0
色んな意味でドロッドロです笑
広告を見て読み始め、ついつい一気読みしてしまいました。
オメガバース(α、β、Ωという、男女とは別の第二の性を舞台にしたSFが発祥のジャンルです)×大正浪漫風×身分差の恋がこの作品の主軸です。TLの中でもそれなりに一つのジャンルとして幅のあるオメガバースものですが、その中でも今作は妄執的な愛欲や複雑な人間関係によるドロッドロさにあるのではないかと思っています。
主人公の紗代は良家に生まれながらも、自身の出生から幼い頃から冷遇されていた。そんな紗代の唯一の理解者であり、支えが従兄弟の瑛司であり、互いに姉弟のように慕い合いながら共に育った。瑛司は跡取りではないけれど虐げられる紗代とは違って本家からは認められた存在であるため、紗代は互いの立場の違いを弁えようと“姉”として想いを隠し続ける。
そんな中、自身のΩ性に翻弄されつつも瑛司への想いを密かに慕らせ、Ω性の確立を機に瑛司との淫らな夢を夜ごと重ねて見るほどにまでに彼を想うようになる。
そんな時、紗代は眞田という青年とお見合いをすることになり、瑛司への想いとの狭間で心を乱されるようになる。ーーと、ここまでなら切ない身分差に苦しむただの純愛ものだったのに、話が進むにつれて徐々に瑛司の黒い影が紗代を中心に登場人物達へと仄暗くその食指を伸ばし始め、また、そんな瑛司の思惑に抗おうと瑛司の婚約者や眞田もまた場を引っ掻き荒らす。
運命の番である紗代と結ばれるためならばどんな手段も厭わず、何を犠牲にしても構わないという瑛司の強めのヤンデレ味が嗜虐的な肉欲や野心、病的スレスレなまでの独占欲と相まってどこかおぞまいとすら感じる今作。そのためか、オメガバース要素よりもサスペンス色のほうがもしかして濃いのでは?とつい思ってしまうほどだけど、紗代を檻から出してあげたいという願いそのものは今のところは純粋そのもののようにも見えるので、このままTLらしくハッピーエンドになるのかな…とも思いつつも、メリバも有り得そうで怖いとも思ったり笑。まだまだ波乱は続きそうです。
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