5.0
救済とは
霊が見える体質の三角は、見えるだけで対処は出来ず、得体の知れないそれらに怯えるだけの日々。その「よく見える」能力のために霊を祓う力を持つ冷川に目を付けられて半ば強引に相棒というか非雇用者になるのですが、三角くんがどんどん芯の強さを発揮して、闇に囚われている冷川を救いたいと思うようになるお話。
脇を固めるレギュラー陣も魅力的です。
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霊が見える体質の三角は、見えるだけで対処は出来ず、得体の知れないそれらに怯えるだけの日々。その「よく見える」能力のために霊を祓う力を持つ冷川に目を付けられて半ば強引に相棒というか非雇用者になるのですが、三角くんがどんどん芯の強さを発揮して、闇に囚われている冷川を救いたいと思うようになるお話。
脇を固めるレギュラー陣も魅力的です。
不器用な女性が、勢いで姪を引き取って共同生活をする話…と聞くと何てことないのですが、一度読み始めると続きが気になって止まりませんでした。
小説家という職業柄、自己の世界を確立している槙生に対して、多感な15歳の朝は、苛立ち、迷い、揺れ動きます。
その対立かと思いきや、槙生のほうも朝の遠慮のない言動や、未成年を庇護するという初の経験を通じて、構築したと思っていた自分の殻ががらがらと崩れていき、不仲だった姉や別れた恋人との関係性をも見直すことになります。
そればかりか、その姉や恋人など彼女ら二人を取り巻く人々それぞれに苦悩があり、裏面があり、秘密があるのをチラ見せされながら進むため、この人間関係がどうなるのか、下世話な興味もあって読み進めてしまうのですが、決してドロドロした感じはありません。
むしろ人間同士のつながりの繊細さが印象に残ります。
さくさく読めて、読後はふんわり幸せな気持ちになれます。
交易で栄える砂漠の都市国家と、中央アジアっぽい草原の国が舞台ですが、最後まで国名はA国B国だし、時代考証なにそれおいしいの?って感じの言葉や設定が気軽に出てくるので、作り込まれた歴史劇が目当てだと物足りないかもしれません。でもむしろ現代物に近い感覚でさくさく読めるので、そういう異世界ものの設定を覚えるのが苦手な方でも楽しいと思います。
人を大切に想う気持ちは普遍的なんだなというほっこりした読後感です。
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さんかく窓の外側は夜