5.0
視点が変われば事態も変わる
ハンネローレは他領に嫁ぐ前提で育てられたからか、自領のディッター気質を受け入れられないでいる。ただし、揉め事はディッターで決着させれば後腐れなく解決できると考えているという根っからのダンケルフェルガー気質を無自覚に持っている。
自身の結婚については父親アウブが決める事だと割り切っているが、一昨年前のエーレンフェストとのディッターでヴィルフリートに庇われた事がきっかけで彼に淡く恋心を抱いている。当時は彼がローゼマインの婚約者である上に、上位領地の領主候補生との婚姻が、エーレンフェスト領内の派閥の均衡を崩すものとして望まれていなかった事を知って身を引いてしまった。
ローゼマイン視点の本編では全く触れられていないが、この顛末はハンネローレの自領での立場をひどく損なうものだった。
ローゼマインが起こした本物のディッター(領地争奪戦)に(負けた時には捨て駒となる覚悟で)参加して、見事勝利したおかげで領地での価値は上がったが、側近達とは意思の疎通がうまく伝わっていないままになっている。
という流れが前提としてあります。
コミカライズでは今後少しずつ明らかになると思いますが、ダンケルフェルガーでは領主候補生の側近(特に筆頭側仕え)は、主に従いながらも主の資質を見極め、アウブの望む基準を達成できるかを見届ける試験官のような役割を持っています。
エーレンフェストとは違う常識、もちろん現実の私たちとも違う考え方を常識として行動する登場人物たちの選択を、読者にどう説得力ある形で読ませるか、がこの「本好きの下剋上」の魅力です。
台詞やモノローグの端々まで原作者様の仕込みがあり、コミカライズではより細かい描写にその仕込みが隠れています。
恋に憧れるハンネローレ様の、ちょっと優柔不断で頑固な姿がどう変わるのか、楽しみに読んでください。
-
1




本好きの下剋上 ~ハンネローレの貴族院五年生~ 「恋してみたいお姫様」