5.0
田舎の閉塞感と固定観念による束縛感
外からの刺激や価値観が取り入れやすくなった昨今ではありますが、日本人の考えかたの根底に「男らしさ」「女性らしさ」を元にした「常識」というのが確かにある。無意識のうちですがそれに縛られて生きているというのを思い出す作品でした。少し田舎へ行けば、全く同じでなくともそういった風習に触れる方もいるのではないでしょうか。特に法事等での親戚の寄り合いでは、私も経験はあります。客人のもてなしや、ビール瓶を持ってのお酌や挨拶回り、お年を召したおじ様からの無遠慮な言葉。あの、ローカルで少し息の詰まる感覚を、それを作り笑顔で躱す時の虚しさを、作中でしっかりと表現できていたと思います。主人公の友人はどこまでも彼女にとっての同士のままであったこと、それがわかったのは幸いだと思いました。東京の空で、誰にも関心をしめされない自由の中で、亡くなった友人の心を供養しようと燃した友情の証。そのシーンに主人公の思いが詰まっていたと感じました。
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帰郷