5.0
ふたりに欠けたモノ
唐突に始まった二人だけの暮らし。
展開の急については目を瞑るとして、二人の間にある情感は他にない没入感を与える。
貪るように求め合うのは、果たして若さや性欲に囚われたからなのか。
それとも、互いの存在を確かめ合うためなのか。
読み進めるほどにその境界が曖昧となり、気づけば自分もそうした一人なのかも知れないと不安になる。
タカとひなという組み合わせもまた面白い。
女としての殻を脱いだひなと、否応もなく社会に羽ばたくことを求められたタカが果たしてどのような梢に辿り着くのか。
二人の交わりの合間にそのようなことを思うのを私は止めようもない。
現在出ている14話を買い求めるのに、そう時間はかからなかった。
だからこそ、二人が未だに口付けを交わさぬことに違和感を覚える。
初めの2回ほどは、ひなが求めたと思われる間があったが、次第にそれが薄れていく。
家族だから気恥ずかしいのか、それとも、交わしてしまえば何か魔法が解けてしまうのか。
そのような妄想を手繰り、二人の情交を固唾を飲んで見守る。
幸せに至るだろうかという不安を一筋抱えながら。
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今日から家族、そして恋人。