4.0
集大成なのでは
一条ゆかりワールドここに極まりという感じ。
出だしの数話ですっかり話の流れに入り込んでしまい、先がどうなるのかなかなか予想がつかず、あっという間に課金して読破してしまいました。
(とはいえ1話のボリュームも多く、思ったよりはるかに長編でした。)
上流階級、華やかな「業界」を描かせたら右に出る者がいないのではないでしょうか。先生の作品はりぼん掲載作しか知らなかったので、少女漫画の域を超えた、その煌びやかな世界観に酔わせていただきました。
※ネタバレです
気の強い美人の令嬢も、キレ者のエグゼクティブも、一見チャラいけど才能溢れる一途な美少年も、夢に向かってひたすら血生臭く頑張る子も、人生の先輩として圧倒的な美しさと人間力を持ったマダム、ゲイ好きのするチャーミングな紳士、みんなどこかの作品で見たようなキャラではあります。(番外編で一瞬有閑倶楽部のメンバーが出てきたのは嬉しかった!)
でも、元々お好きなのか相当勉強されたのか、クラッシック音楽、中でも特にオペラという日本人には敷居の高〜い特殊な世界を舞台にそれぞれの人物像と心情が丁寧に描かれて、いろんな思いが微妙に交錯しながらまさにドラマチックに展開していきます。
ラストが納得いかないという感想はすごーく分かる。。それだけの事を萌はしてしまった、それは認める。だけど、、せめて、歌の道は諦めなくてはならなかったけどイタリアで娘と親友と苦労しながらも慎ましく生きてる、くらいの着地で良かったのではないか、とは思うかなー。。萌が最後まで改心しなかったのなら、天罰やー!とあの結末でも納得なんだけど。
たぶんヒロイン「だけ」が何もかも手に入れている(ように見える)からみんなモヤるのだろうな、、なんか、そこまで一気に大団円にしなくても良かったのかなー、って気はします。
最終的に蘭ちゃんと結ばれて欲しかった気もするし。
でもまあ現実にもこういう星の元に生まれたんだなーって人は居ますけどね。(そういう方にも人には見えない苦労とか挫折や寂しさとかも、ご本人なりにあって、でも他人には分からないものなので勝手に妬んだり羨んだりするのは不毛なのですよね。)
現実逃避と言っては語弊があるかもしれないですが、この独特の世界観を楽しめる方にはお勧めできます。
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3
プライド