4.0
鬱になるほど引き込まれる!
皆様書いてらっしゃる通りに、本当に誰も救われない、読み終わって何とも言えない虚無感に襲われるお話です。でも、読めば読むほど深い、非常に考えさせられる作品でもあります。
読み返すと『何がどうしてこうなった。どこかで何かが違っていればこうはならなかった。この時こうしていれば…』と、結末が分かっていながらもストーリーの展開を止めたくて止めたくて仕方がなくなります。
これも皆様書いてますが、誰もがこうなる可能性を持っている…とも思いました。多くの登場人物が踏み越えてしまった正常と異常の狭間を、私たちももしかしたらどこかで越えてしまうかもしれない。
絵柄がグロいとか受け付けないという意見もあるようですが、綺麗で優しいタッチと恐いグロいタッチを本当に上手く書き分けていらっしゃるのがこの作者さんの魅力だと思いました。人物以外の、植物や自然の描写もその場面場面の情景をよく表していて素晴らしいです。
突っ込みどころとしては『何故、最初の火事の時点で警察がちゃんと動かなかったのか。放火の証拠が沢山残っていただろうに捜査が進んでいる気配がなく事故で済まされたのか。過疎化の激しい田舎の警察だからって杜撰すぎるだろう。』とは思いますが、そうじゃないとこの話が一切進まないので仕方ないのでしょうか(笑)
中盤、終盤の人間関係のどんでん返しにはしてやられました。何度読んでも鬱になるの分かってるのに何度も繰り返して読んでしまいます。
- 3
ミスミソウ