5.0
切なくも美しくたくましい
自分の初恋相手から、その彼の想い人である義妹を救うために死んでくれと言われる残酷さ…どこにも何の落ち度がない。無知ゆえのその制度を憎むしかない。誰もが哀しく切ないのだ。
主人公は養女だが、実子と変わらぬ育ちをし家族皆に愛されている。
この世界には瘴気と魔物を生み出す未明の地があり、度々世を脅かす。その瘴気を鎮めるために乙女を生贄にする風習があり、義妹は選ばれてしまった。その瘴気に対し大きな耐性を持つヒロインは、これで自分の初恋は実のると一瞬思ってしまった。初恋相手は義妹を愛していたから…だが、彼から義妹の代わりに未明の地へ行ってくれと言われ、自分の思い上がりに気づき、真っ当な考えである耐性のある己の役目を知るのだ。不憫で、不器用で、だが高潔な彼女に聖剣は寄り添って共に未明の地へ向かう。
その後残された義妹と彼は結ばれ彼そっくりの息子たちや娘を授かる。その長男は王女のプロポーズの証にその聖剣を捧げることとなり未明の地へ行く。
ここまでが、設定部分。誰も悪くない。傲慢なのは初恋の彼たが、ヒロインに瘴気の耐性がなければ頼みはしないだろう。
瘴気のせいで時が止まったヒロインと出会った息子のストーリー、これこそ切ない。聖剣は厳しくも二人を見守る。機微細やかな描写で素晴らしい。先が待ち遠しい作品です。
- 3
恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。―妹と結婚した片思い相手がなぜ今さら私のもとに?と思ったら―@COMIC