5.0
人の死の背景
毎日の様に当たり前だけどどこかで誰かが死んでいる。病死だったり事故死だったり殺されたり自殺したり。様々な死の背景を死役所という架空の施設の中で、現実のお役所さながらに故人に纏わる情報を淡々と描いていく。死んだ時の姿のままなので表紙の様な無惨な姿の者もいて、あっさりした絵柄なのにそこはかなりグロく描き込んであって最初は嫌悪感を覚えたが、死の内容が語られるなかでその姿の印象が変わってくる。哀れだったり、自業自得だろうと思う怒りだったり。いつの間にかそれらの死の背景に深く共感している。
気がつけばどんどん読み進めていた。職員たちの事情もさりげなく絡ませてあり、それが個々の話をうまく繋げて全体の流れを作っている。
分かりやすく読みやすい。
それぞれの死の背景を掘り下げた物語を見ることは、人の生き様を見ることだと改めて気付かされる。
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死役所