5.0
抽象的だからこそ自分事にできる作品
ストーリーは短く、テーマがはっきりとしているのに対し、それ以外は抽象的です。そのため読み手側に想像力が必要な作品ですが、解釈の楽しみがあります。
主人公の年齢や職業、従姉妹の死因など、あまり具体的な内容が描かれていないのは、読んだ人がそれぞれの解釈をし、自身の経験と重ねて読めるようにでしょう。
キーワードは「田舎」「葬儀/法事」「男尊女卑」と言ったところ。
なぜ葬儀や法事なのかと言えば、それが親戚や隣近所が一堂に会する機会の代表格であり、それだけの人が集まれば田舎の人間関係の煩わしさが炸裂すること必至だからです。
今も残る田舎の価値観と風習がとてもリアルに表現されている、秀逸な作品です。
- 23
帰郷