和と洋の文化が交錯する時代。奥村寧々は、鮫島馨と結婚して、子を成さなければならない。これは、結婚に希望を見出せないふたりが出会って始まる物語―。

元・令嬢の寧々は亡くなった両親の借金返済と妹・小梅子を養うため、分家の下で工場勤めと奉公に明け暮れている。いとこの千代子に虐げられながらも、妹の幸せを願って日々を過ごしていた。

寧々は質屋の店先で謎の男・鮫島と出会う。鮫島が預けていた質屋もお手上げの代物を、寧々は父から授かった知識で鑑定する。その博識と慎ましさを見込んだ鮫島に、寧々は仕事を頼まれて―。

千代子に夜会へ連れられた寧々と小梅子。壺を割った濡れ衣を着せられた小梅子は、千代子に身売りでの弁償を迫られる。そんな寧々たちの窮地に現れた鮫島。彼の正体は…？