宵明けの月籠 2巻
あらすじ
── 夜歴1289年、歴史は「血」に刻まれた。かつて世界を揺るがした「聖血戦争」あらゆる闇の力を鎮め、あるいは増幅させる伝説の「聖血」を宿した一人の少女が現れた。現代を生きるヴァンパイア総主、リアム・ド・ルクレール。彼は、かつての戦いでその少女を救えなかった後悔を胸に、数百年の時を孤独に彷徨い続けていた。日本屈指の財閥、鳳条(ほうじょう)家。豪華絢爛な屋敷の片隅、光の差さない小部屋に、藍璃(アイリ)はいた。シャンデリアの下、睦まじく食卓を囲む父、母、そして妹の皐蘭(サラ)。そこには、最初から藍璃など存在しなかったかのような、残酷なまでに完成された「幸福な家族」の絵図があった。絶望の淵で仰ぎ見たあまりに美しい満月。吸い込まれるように屋敷を抜け出した藍璃は「自らの運命」と再会する。それは、悲劇の再来か、それとも救済のはじまりか。孤独な令嬢と、心を閉ざしたヴァンパイアが織りなす、切なくも幻想的な現代ファンタジー。目覚めた場所は、鳳条家の冷たい小部屋ではなく、重厚な美しさを纏う見知らぬ寝室だった。穏やかな笑みを湛えたメイド・ヴィオレーヌと、その傍らに控える双子のサリエルとセレナ。鳳条家では得られなかった人としての尊厳を伴う温かな献身に、藍璃は戸惑いながらも、再び眠りへと落ちていく。
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