[小説]南条翔は其の狐の如く
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あらすじ
十歳で両親を亡くして以来、幼馴染達に支えられてきた南条翔は、この春から高校生もなった。ある日、頻繁に約束を破る幼馴染達に対して、翔は彼らを怪しみ、二人の後をつける。すると山中のあばら家で見たこともない、おぞましい化け物の姿と、それに臆することなく化け物を退治する、幼馴染達の一面を目の当たりにした。長年付き合いである、彼らのことは家族同然として見ており、「なんでも言える関係」でいようと、その絆を深めていた。けれど、彼らの知らない姿がそこにはあった。翔にとって、その奇々怪々な光景はあまりにも衝撃的なものだった。彼らの秘密を知った同じ日。翔は、この世とは思えない、美しい銀色の狐と出逢う。あばら家に侵入してきた迷い狐は、くくり罠に掛かり、怪我を負っていた。それを救った翔は狐から懐かれ、一夜を共にすることとなったのだが―――。
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十歳で両親を亡くして以来、幼馴染達に支えられてきた南条翔は、この春から高校生もなった。ある日、頻繁に約束を破る幼馴染達に対して、翔は彼らを怪しみ、二人の後をつける。すると山中のあばら家で見たこともない、おぞましい化け物の姿と、それに臆することなく化け物を退治する、幼馴染達の一面を目の当たりにした。長年付き合いである、彼らのことは家族同然として見ており、「なんでも言える関係」でいようと、その絆を深めていた。けれど、彼らの知らない姿がそこにはあった。翔にとって、その奇々怪々な光景はあまりにも衝撃的なものだった。彼らの秘密を知った同じ日。翔は、この世とは思えない、美しい銀色の狐と出逢う。あばら家に侵入してきた迷い狐は、くくり罠に掛かり、怪我を負っていた。それを救った翔は狐から懐かれ、一夜を共にすることとなったのだが―――。
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高校生の南条翔は、襲われていた銀色の狐を助けたことで半妖となり、妖の世界の「南の神主」の素質を手に入れる。人間の世界で生きていきたい翔は元の生活を送ろうとするが、化け狐となったことで聴覚や嗅覚が過敏になり、車の排気ガスの臭いや騒音で体調を崩し、夜は不眠に悩まされてしまう。幼馴染の和泉朔夜と楢崎飛鳥はそんな翔を心配して、体調不良の心当たりがないのかを問い詰めるが、幼馴染の二人は妖を調伏する「妖祓」であった。朔と飛鳥にバレてはいけないと翔ははぐらかすのだが、二人の目を誤魔化し続けるのは至難の業だった。妖怪の世界の知り合いである、猫又のおばばに相談していると、ちょうど家を訪ねてきた「北の神主」の比良利に『夏越の大祓』の神事を手伝ってもらいたいと言われる。狐の五感を抑える相談に乗ってもらう代わりに、比良利を手伝うことになるのだが――。
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半妖となった高校生の翔は、もうすぐ迎える夏休みの間の働き口を探していた。しかし、小さな田舎町には学生のアルバイト先があまりなく、翔の仕事探しは難航する。それを聞きつけた北の神主・比良利は、翔に神社で働かないかと持ち掛けた。あれよあれよという間に言いくるめられてしまった翔は、二足立ちの狐の妖たちに混じって、『出仕前』という神職の手伝いをすることになった。人語を理解できる化け狐の茶丸に面倒をみられることになり、自由で気ままな狐たちに翻弄されながら、翔は慌ただしい日々を送っていく。一方、『夏越の大祓』で南の神主をお披露目したことにより、妖たちは新たな神主の下で甘い蜜を啜ろうと、水面下で動き始める。中でも妖たちは『指南番』と呼ばれる神主候補を指導する役目を狙っていた。翔に対抗心を抱いている貂の千早は、『指南番』になるために翔に直接勝負を仕掛けようと画策するのだが――。
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「俺の親は鬼に食われた」----妖たちの世界を人気イラストレーター六七質が描く。人気和風ファンタジー待望の続刊!南風月(はちがつ)下旬。夏休みも終わりに近づいていたが、神社で助勤をしていた半妖の南条翔はヒトの世界に帰してもらえないまま、妖の世界に身を置いていた。天之町内では『百鬼夜行』が頻発しており、ヒトや妖が無差別に襲われる事件が起きていた。赤狐の比良利たちは百鬼夜行が発生した大元の原因を作ったのは『妖祓』ではないかと睨んでいたが、妖祓側は夏休み中行方不明になっている『南条翔』が騒動の鍵を握っているのではないかと考えて動き出していた。妖とヒトの関係に亀裂が入る中、ついに妖祓が妖の縄張りを奪う策を講ずる。里山に『あやし威し』の罠を張り、妖の捕縛や調伏を開始。『あやし威し』の罠を張られ、妖たちは里山に出られなくなった。ヒトに奪われる縄張りの様子を確かめることができず、焦る妖たち。そこで人間に戻ることができる半妖の翔が名乗り出る。人間の自分には妖祓の呪いが効かないから、罠を除去することができ、人里に隠れ棲む妖たちの様子も確認できると進言したのだ。翔は人間の姿に戻り、里山奪還の方策を見つけるため、里山に下り立つ。そして妖祓である和泉朔夜と再会するが、彼は行方不明になっている翔を心配して探し回る一方で、翔が妖の味方をしていると薄々気づいていた。朔夜は、翔が百鬼夜行を扇動しているのではないかと激怒するも、翔の心には響かなかった。翔は妖祓に対して疑心暗鬼になっていた。六年前の両親の死について真実を隠されていたからだ。両親は鬼に食い殺されたーーその事実を朔夜は知っていて隠していた。そして『黄貂の千早』から聞いたもう一つの真実、妖祓が『鬼を調伏するために南条家を利用した』ことに対して翔は憎しみと怒りを抱いていた。朔夜と再会した翔は感情が爆発してしまい、ついに幼馴染の二人は対峙することになった。
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