独占漫画家インタビュー:渡部美朋「ドラマチックなだけじゃない!リアルなストーリーやキャラクターを描く渡部先生が、普段から参考にしているものとは?」
元カレのデキ婚を機に婚活アプリを始めたら、大手企業のイケメン取締役と交際0日で結婚!? そんな衝撃的な展開とは裏腹に、アラサーの婚活やクズな元カレなど、リアルなエピソードやキャラクターを描く渡部先生。一体何を参考に漫画を作っているのか、教えてもらいました!
一番のクズは久美の元カレ!
――めちゃコミックで先行配信中の「交際0日婚」 (渡部美朋) ですが、たくさんの反響を呼んでいます。ご自身の実感としてはいかがでしょうか?
多くの皆様に読んでいただけて、有難いなあと感じています。これからも頑張るので、よろしくお願いします。
――「交際0日婚」 (渡部美朋) を描こうと思ったきっかけを教えてください。
「テーマは“結婚”でいきましょう!」と担当さんに提案していただいたのがきっかけで、お話を作っていきました。主人公・黒木久美(くろき くみ)のように30歳を迎えて、どんどん歳を重ねていくにつれ、愛だ恋だというよりも、あらゆる自己都合で結婚を考えられる方は実際にも多いのかな、と思っています。体調不良により今後の生活が不安になったり、早く親を安心させるためだったり、自分のプライドを保つためだったり、社会的信用が欲しかったり…。きっかけが何であれ、結婚した先で満足な結果が得られるのなら、周りに何を言われようと気にしなくて良いのではと思います。
元カレのデキ婚がきっかけで、婚活アプリに登録した久美
交際0日婚
(c)
渡部美朋
デキ婚した元カレとはずっとレスだった
交際0日婚
(c)
渡部美朋
――「交際0日婚」 (渡部美朋) で、特に思い入れのあるキャラクターや、お気に入りのエピソードはありますか?
久美の元カレ・田中健司(たなか けんじ)の登場シーンですね。本編に何度か出てきては久美の心を抉っていくんですが、本人には久美を傷つけているという自覚はまったく無いんですよ。でもこういう悪気無く傷つけてくる人って、現実にもよくいるよね、という共感の思いで描いています。そういう意味では、一番リアルで描きやすいキャラでした。
久美の元カレ・健司とその嫁と偶然鉢合わせる久美
交際0日婚
(c)
渡部美朋
作中では久美が、自分を騙した松田大輝(まつだ たいき)に対して、「あなたスーパークズですね!」と言い放つシーンがあるんですけど、一番のクズはこの人ですよね(笑)。
大輝にクズだと吐き捨てる久美
交際0日婚
(c)
渡部美朋
――「交際0日婚」 (渡部美朋) をこれから読む方に向けて、見どころの紹介をお願いします。
「そんな事ある!?」というような出会いから始まるストーリーなので、びっくりする方も多いかもしれません。互いの利害関係が一致したため、形だけの結婚という選択をした二人ですが、そこからどう変化していくのかを注目してくれると嬉しいです。
形式だけの結婚を申し出る大輝
交際0日婚
(c)
渡部美朋
また、二人が距離を縮めるにつれ、障害となってくる大輝の過去も見どころだと思います。
大輝のセリフに隠された真相とは?
交際0日婚
(c)
渡部美朋
大輝のセリフに隠された真相とは?
交際0日婚
(c)
渡部美朋
女性キャラに自分自身を重ねる
――キャラクターやストーリーをつくるとき、周囲の人をモデルにしたり、周囲の話を参考にすることはありますか?
モデルにしているキャラはちょこちょこいますね!実は、久美の元カレもそうだったりします(笑)。
ストーリーは、友人や知人からのお話を参考にすることも多いですね。あとは自分自身の経験や、海外ドラマなどからも影響を受けます。特に海外ドラマは大好きで、仕事中の息抜きとしても欠かせない存在です。
――ご自身の作品の中で、特に共感するキャラクターがいましたら教えてください。
一番共感するのは「仔猫ちゃん、こっちにおいで」 (渡部美朋/ソルマーレ編集部) のヒロイン・川島悠子(かわしま ゆうこ)ですかね。わたしも身長にコンプレックスを持っていたり、二次元に逃避したりする癖があるので…。
高身長にコンプレックスのある主人公・悠子
仔猫ちゃん、こっちにおいで
(c)
渡部美朋/ソルマーレ編集部
悠子の趣味は乙女ゲーム
仔猫ちゃん、こっちにおいで
(c)
渡部美朋/ソルマーレ編集部
私の描く女性キャラは、社会で働くことに疲れていたり、素直になれなかったり、自身とやや重なる性格であることは、何となく統一されているような気がします。
既婚者だらけの友達のSNSを見て、一人寂しい気持ちになる
交際0日婚
(c)
渡部美朋
本当は結婚したい、と涙を流す久美
交際0日婚
(c)
渡部美朋
「やりたいことを全てやろう!」と期間限定で漫画投稿を始めたのがきっかけ
――渡部先生が漫画家になろうと思ったきっかけを教えてください。
幼い頃からうっすら「漫画家になりたい」と思っていましたが、家族からはあまり賛成の空気がなく、言い出せずにいたんです。でも19歳の時に色々挫折したことをきっかけに、「こうなったらやりたいことを全てやろう!」と決意して、期間限定で漫画投稿を始めることにしました。そこから「デザート」(講談社)でデビューを果たし、今につながっています。
――今まで読んだ中で、ご自身の人生などに影響を与えた作品はありますか?
昔からずっと好きなのは「うしおととら」 (藤田和日郎/小学館) と「BASARA」 (田村由美/小学館) ですね。失敗続きで落ち込んでいるときも、読んだら「また頑張ろう!」「自分を信じてみよう!」とやる気にさせてくれます。
――渡部先生にとって、まさに人生のバイブルというべき作品ですね。他に、もし今ハマっている漫画があれば教えてください。
今ハマっているのは「重版出来!」(松田奈緒子/小学館)ですね。ドラマもとても面白くて、繰り返し観ては何度も泣いています。
――交流のある漫画家さんはいますか?どんな話をするのでしょうか。
交流があるのはデビュー誌「デザート」(講談社)の作家さんが多いですね。同業者なのでお仕事の話はもちろん、最近は健康と子育ての話をすることも多いです。普通の主婦トークですね(笑)。
――これから挑戦してみたいジャンルやストーリーがあれば教えてください。
何かがっつりテーマがある作品に取り掛かりたいですね。あとは、いつかホラーマンガも描いてみたいです。
挫折経験がきっかけで、漫画家を目指したという渡部先生。作品中の夢や憧れと現実とのバランス感は、もしかするとそのときの経験が生かされているのかもしれませんね。気持ちのない関係から始まった「交際0日婚」(渡部美朋)の二人が、どのように心を通わせていくのかは必見です!
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