5.0
二重構造の伏線と、どんでん返し
本筋は、事故で妻を失った夫が、妻を失ったことで自身が喪失した感情や体験を漫画に表していたという劇中劇です。この本筋のクライマックスは、主人公である夫が、夢うつつで自ら書いていたと思っていたラクガキも、妻の仕業(憑依?)であったこと、またお互い愛し合っていた日々を一瞬繋がって共有するという奇跡で終わります。ただ、どんでん返しとして、主人公が夫から妻にひっくり返り、実は前話で美しく愛を確認していた夫が、妻を交通事故死に見せかけて殺していた事、漫画の世界があの世に再現されている事、そしてその狂った世界は永遠に続くことなどが次々と明らかになるという、美しい愛の話から一気に暗いカオスな世界へ、読者を急転直下させる、あるいは感情を180度ひっくり返すという作者の仕掛けがあります。
無料でここまで短い話にもかかわらず、読み手に斬新な読書体験を用意してくれた作者様、お見事です!
- 11
生きた心地と私の最後