5.0
壮絶な悲しみ
もしも、世の中というものが、稼がなくても生きていけるものであったなら
かさねと野菊は二人で静かに、お互いの母を思いながら、本当の愛情を慈しみあって幸せになれたかもしれない
でも、世の中はそれで生きていけるものではない
野菊は身体を売ることしかできず、こころの傷はどんどん深くなっていく
かさねも閉じこもることはできず、人前にでなければならない。凄まじい劣等感をぬぐい去るには、絶世の美女になり、演劇への執着に我を忘れることが唯一の救い。
そして、悲劇を深めていく
普通の顔に生まれて、人並みにメイクやダイエットやファッションで努力をし、何となく普通より少し上かなーと思っている私…一番多いタイプなんだと思う。普通より少し上かなーと思っている本当に平均的な自分なのに、圧倒的に、かさねの方に共感し、幸せになって欲しいと応援してしまう。
それは、自分の中にほんとうはある劣等感のせいなのかもしれない…
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