3.0
人生で一番面白いマンガだけど…
読者が物語にカタルシスを感じるのは、作り手が自ら課した厳しい縛り(ヤクザ社会のリアルな抗争、タイムスリップという矛盾)の中でギリギリまで知恵を絞り、そのルールの内側で「なるほど、その手があったか!」という鮮やかな解答を見せてくれた時だけです。
本作の道中で、丈二が何度も見せてくれた「読者を納得させるあの手この手」は、まさにその最高峰でした。それなのに、最後の最後で「実はゲームでした」とやったのは、それまでの緻密なロジックを自らドブに捨てたようなものです。
「夢オチ(シミュレーションオチ)で謎をロジカルに説明できた」と思っているなら大間違いです。どんなに綺麗に辻褄が合っているように見せかけても、それは設定の「説明」ではなく、物語の「放棄」でしかありません。
これは作者個人だけでなく、クオリティコントロールの義務を放棄した出版社(ヤングマガジン編集部)も同罪だと思います。
編集者の最大の仕事は「最初の読者」として客観的な視点を持つことです。道中でどれだけ緻密なロジックを積み重ね、読者がどれだけ丈二の生き様に感情移入してきたかを一番近くで見守ってきたはずです。あの結末のネームを見た時に、「今までの歴史を無に帰す行為だ」と気づかなかったはずがありません。もし気づいていながら止められなかったのだとすれば、それはプロとしての職務怠慢であり、読者に対する裏切りの共犯と言わざるを得ません。
結末一つで、それまでの何十巻という輝かしい名作の歴史が「汚点」に変わってしまう。そのリスクを一番分かっているはずのプロの現場が、ビジネスのパワーバランスに負けて読者を置き去りにしたのだとしたら、本当に悲しいことです。
タイムスリップの謎など未回収のままでよかった。どんなに稚拙な形でも、夢オチよりは一万倍マシでした。本当の結末は作者にしか作れないからこそ、今からでも「あの結末は間違いだった」と撤回してほしいくらいです。自分の作品でもないのに、これほどの傑作がこんな形で終わってしまったことが、あまりにも勿ったなくて涙が出ます。
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代紋<エンブレム>TAKE2