3.0
現実と空想の狭間
精神科で働く作業療法士です。
登場してくる患者さんは「あー、こういう方いたなー」と言いたくなるような方々ばかりでした。
ただ、やっぱりどこか大衆向けな感じが否めません。私の知っている精神科の10倍以上「お綺麗」な感じなのです。
まぁ、私の働く病院は「最終地点」「最も天国に近い場所」と呼ばれる程、全国の病院からも入院拒否される(された)患者さんが集まってきて出来たようなので、その通りなのかもしれませんが・・・。
あと、精神科の看護師さんって本当に「精神」というものに興味を持って仕事をしている方は結構珍しいです。こういった方々が多くいらっしゃる病院は幸せだな~といつも思います。私の周りは「楽そうだから」「給料がいいから」という方もいますし、酷いと「色んな科を回って、上手くいかなくて、最終的に辿り着くのが精神科」なんて言い方をされる方もいるのです。結構キツイ性格の人もいます。反対に、ゆるりと色々なことを受け流す、マイペースで飄々とした人もいます(ちなみに医者はこのタイプが多い気がします)。
何が言いたいかと言うと、この作品は精神科の一面を知って頂く良い取っ掛かりにはなるけれど、現実にはここに書かれた以上にもっと歪んだ人間模様があるのだということです。それは患者さん達だけではなく、医療スタッフもです。
そういった点ではこの作品は題材に反して爽やかで、読みやすく出来ているのですが、どこか物足りない気持ちにさせられてしまう、というのが裏側を知るものとしての意見です。
-
9
精神科ナースになったわけ