4.0
見聞が広がる作品
家族や恋人(夫)からの暴力や暴言等の虐待の被害とは無縁で生きてきました。
そんな中で新しい命を授かり、“もし子どもが親からの虐待を受けたらどんな人生になったのか”が気になり拝読しました。
とにかく辛い。被害についてはもちろんですが、思考や行動の端々に思い出したくない父の姿が過り日常生活に支障を来す。周りに理解してくれる人がおらず心を蝕まれる毎日。
頼みの綱であり、罪悪感を払拭できずにいた母も実は自分に対して歪んだ感情を持っていた。
共に育った兄弟が大人になっても、心の病を抱えていた。
本当に虐待は地獄。
そう感じずにはいられませんでした。
私と似たような境遇の方では作者さんの後々の思考や行動に対して「然るべき施設で適切な処置を受けようよ」と言いたくなると思います。
でもそうはいかないのでしょうね。
ただただこの世から虐待という行為がなくなるのを願うばかりになる作品です。
心が疲れている方には向かないとは思いますが、読むと自分の中で考えの幅が広がると思います。
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虐待父がようやく死んだ