3.0
ラストにドン引きしました…
お話の構成も人物描写や表現もとても素敵で、決して面白くなかった訳ではないのですが、ラストがあまりにも衝撃だったのでどう評価して良いかわからず、「これ、思ってた程ハッピーエンドじゃなくない!?」という意味を込めて星を減らしてみました。
え?だって結局は全部王様が裏で糸を引いていたんですよね?
全てはヒロインを妻にする為の策略だったんですよね?
敢えて妹との結婚を持ちかけてヒロインの弱味を握ったり、王宮に匿って自国を放置させて事態を悪化させたり、しかもヒロインの叔父さんの片腕として彼の悪事を助長していたポールという男も、実は王様の指示で動いていた彼の腹心の部下だったんですよね?
そうやって国を混乱させてヒロインをわざと追い詰めつつ、それを助ける振りをしながら自分の思い描いた選択を彼女が「自主的に」選ぶように誘導して、最終的にはヒロインの国を保護国として支援してあげますって、完全に国ごとヒロインを支配下に置いたと、そういう事じゃないんでしょうか?
王族としてより良い道を選べるように導いてくれる人だと、彼女は心から王様を信頼し慕っていましたけど、これじゃむしろ教育というより洗脳に近かったんじゃないかと思います。彼女が悩みながら出した結論もそこに至る過程も、全て王様の計画通りに動いたからこその結果だったと知った時は、こんなにも自分のパートナーの自主性を無視できる人がいるものかと、ちょっと背筋がゾクッとしました。
今はまだ年若いヒロインも、これから成長していけばいつかこのカラクリに気付くかもしれません(少なくともポールの正体くらいは掴みそう)。その時、ヒロインドン引きするんじゃないかなぁ…と、ハッピーエンドのはずなのにその先を想像して怖くなりました。
パッと見は、国の困難に際したヒロインが包容力豊かで優秀な王様の導きを得て成長していくお話です。
でも本当は全部王様の手のひらで転がされてるだけなんです。
光源氏が紫の上を自分好みの女に育てた…とはちょっと違うかもしれませんが、ヒロインの成長を望み、自主性を尊重している振りをして、実は彼女を思い通りに支配している男性なんて、パートナーとして持つには怖すぎる!
ヒロインがこのカラクリに気付かなければ多分一生幸せなんでしょうけどね。ネタバレされた読み手としてはこれをハッピーエンドと言って良いのか…正直分かりませんでした。
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男装王女 皇帝の淫らな指