5.0
自殺志願者にこそ読んで生を感じて欲しい❗
最初はタイトル的に島流しされた人々が争い、サバイバルを繰り広げどんどん死んでいくバトルロワイヤル的な話かと思い、興味本意で読み進めて行きました。
しかし、こういう話は大抵主人公がマトモで格好よく、悪役に立ち向かっていく展開が多いですが、本作品の主人公は頼りなく、自分の意志もなく、パッとしないキャラクターだったので最初はある意味心配しながら様子を見ていました。しかし唯一の特技を生かし狩りをするようになってから、『生命』と真正面から向き合い、私達が生きていることが当たり前すぎて気づかない『1日1日を必死で生きる』姿が美しく、羨ましくも感じるようになりました。
それに自殺志願者1人1人にも現代社会におけるリアルなストーリーがあり、同じようにストレスに堪えきれず、誰もが1度は自殺を考えた経験があると思います。
そんな時にこの作品を見て、自分の生への答えのヒントを見出だして頂きたい。ネガティブな時には見ない方が良いというレビューを書かれている方が多いですが、私はこの作品に描かれているのは『希望』だと考えます。これは私の経験もありますが、ネガティブだからといって暗い考えからひたすら目を背けても何の解決にもならず、死への欲望からは抜け出せません。
人間はやっかいな事に生きる理由がないと生きられない生き物です。むしろ生きる理由を探す為に生きているような気もします。本作品の無気力で自信のない主人公がいかに自分の存在意義を見出だすに至ったのか、一見の価値があると思います。
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