5.0
はるこさんの作品の中でも
「隣の男は…」とか「酒と恋は…」とか「このうちとまれ」とか、今まで読んだはるこさんの作品の中でも、私はこの作品が1番好きかもしれません。ん、いやかなり迷うけれど、一位二位を争う素晴らしさ。ただ人により評価は分かれるかも。
アラサーにして姫になりたいだの、お宝を手に入れたいだの、すてきな人に突然告白されたいだの、幼い頃からの夢が全部叶うOLの話…一見すごく都合のいい、出来過ぎたお話に聞こえます。設定も埋蔵金やカラクリ屋敷、側仕えなど非現実的とも思えるものが出てきますが、登場人物にはそれぞれの立場や、生い立ちなどのリアリティのある必然性があって、なぜかドラマとしてはとても共感できるのです。
そしてそのなかで等身大主人公千代さんは、私と同じ気持ちで、突っ込んだり、苦しんだり、怒ったり、騒いだりしてくれる。その恋はあまりに切なすぎて、私もほろりとするシーンがあります。
多分読者は葦切さん派と古賀さん派に分かれるかもしれません。どちらもミステリアスで素敵な男性です。こういう男性の何を考えているんだかわからない表情を描くのはるこさん、本当にうまいですね。
私も昔、安積山伝説に憧れ、生まれや立場を超えてただ自分を恋したってくれる男性に攫われたいという願望がありましたが、まさに葦切さんとの小旅行のシーンはそんな感じで萌えました。古賀さんの「お慕いしております」もたまらないです!
何度読み返しても、好き。
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