5.0
生きる意味と死ぬ意味
私たちは生まれ、生きている、それは死ぬ為に。聞いた事がある。人は生きた様にしか死ぬ事はできないんだと。
沖田×華さんの作品は色々読ませて頂いた。どれも哲学を感じるので好きだ。
良い人生とは何だろう?
人を幸せにし、自分も幸せになる事だと私は思っている。
4年前に祖母が98歳で亡くなった時の事を思い出した。やはり終末期病棟だが胃ろうをして8年生きた。
認知症も有ったが、ずっと寝ていて、大声を出したり徘徊したり、暴れたり点滴を抜いたり、など一切無かった。ただ毎日静かに眠っていた。
かつてはどこにでもいた、貧しいが健気で、思いやりに溢れ、人の幸せを祈る優しい祖母。
私は祖母に生き方を教わった。
今日亡くなるだろうと言われていた日、家族がみな集まった。荒い呼吸が病室に漂う中、私と妹は祖母の冷たくなって行く両腕を摩った。夜、ほんの15分ほど家族が病室を離れた瞬間にその時が訪れた。突然息が止まったのだ。私一人、大声で祖母に、まだ逝かないで!!!みんな戻って来るから、まだダメだよ!逝かないで!と、泣きながら、祖母を揺さぶって叫んだ。人の死というものに初めて直面した。
家族が戻って来てすぐ、死亡確認が行われた。
私とふたりきりの時に祖母は亡くなった。私ひとりに看取られたかったのだろうか?
たったひとりで溢れる感情を晒させ、その死に様で私に
ばあちゃんの生き方は正しかった、
良く死ぬには良く生きなければならないんだよって、教えてくれたのだろうと思っている。
人は生きた様にしか死ぬことはできないんだという事を。
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お別れホスピタル