4.0
セリアのブルーの瞳をイメージしたルシェの衣装はベゴニアが心血を注いだ傑作でした。
小説ではそんなルシェの姿に釘付けになる貴族たちが大勢いてピンク髪婦人もその中のひとりでした。
ルシェの衣装をデザインして報酬を貰うのではなくモデル料を払うべきでは?と思うほどでした。
一方カリスも馴染みの店で衣装を選んでいました。
カリス担当デザイナーは「彼は元婚約者に会いにいくから慎重にやらなければ」と悲しい顔をしていますがカリスの補佐官はずっとイライラしていた彼が生き生している姿を久しぶりに見て喜んでいます。
シュテルン旗の引き渡しは特別なことであり、急遽ベルク邸で記念パーティーをすることを聞いたカリスは「セリアは自分と話すのがそんなに嫌なのか?」と落ち込みますがセリアに会えることで緊張しています。
気合の入ったルシェを見たカリスはセリアにいい印象を与えるために着飾ったのは自分だけではなかったと気づきました。
ルシェに挨拶をしようと向かうカリスを見守る司祭たちは鎧を着けていないルシェを見てカリスはころされずに済みそうで良かったと安心しています。
カリスはセリアを大公妃などと呼びたくないのでシュテルン呼びを貫き、ルシェはセリアを妻と呼びバチバチです。
隠しきれない片思いの表情を浮かべるカリスにルシェの手にシワが立ちカリスの口に手袋をツッコみたいとブチ切れていました。
カリスもルシェから聖女の夫と言われブチ切れ寸前ですが、これを台無しにしてしまったらセリアが2度と会ってくれなくなると思い我慢しています。
カリスはセリアを永遠に失うとは思ってもいませんでした。
あの日から募ったカリスの恨みの8割は後悔で自身を苦しめ、1割は自分を見捨てたセリアに、そして残りの1割はルシェへ…カリスはどちらかがしぬまでお互い手袋を投げ合い決闘したい…できる事なら今すぐ手袋を投げ捨てたいと思っていました。
カリスは急遽開催されるパーティーを思い出し
「シュテルンが耐えてきた苦労を考えると心が痛む」とカリスは冷たく言いました。
「苦労?」
「パーティーの準備は大変でしょ?しかも突然で」
「苦労したよ。パーティーの準備をしたのは私だからよく知っている。君はなぜ私の妻の心配をしている?」
「シュテルンの安全は当主にとって重要なことでは?」
「君ほど傲慢な一家はないな」
バチバチです
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正統派悪役令嬢の裏事情
068話
第67話