5.0
歪んだ「スタンド・バイ・ミー」
映画「スタンド・バイ・ミー」を観るといつも思う。
そこにいる少年たちは、自分の少年時代とは絶対的に違うのに、そこにある何かは、絶対的に自分の少年時代のものだな、と。
この漫画に対しても、同じことを感じた。
私の、というか多くの読者の思春期は、さすがにここまで歪んではいなかったはずだ。
にもかかわらず、この漫画にあるのは、私の歪みであり、あなたの歪みである。
「黒歴史だよね」なんて飲み会で笑って話せるレベルではない思春期の記憶を持つあなたに、この漫画は、きっと刺さる。
今さらどうにもならない、甘くて苦い記憶を、感傷を、行き場のなさを、顕微鏡並みの倍率で誇張して見せつけたような作品であって、だから私は、この漫画を無視できない。
恐ろしく歪んだ「スタンド・バイ・ミー」のような名作。
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