5.0
たとえそれがいつか終わる恋だとしても
外川が家族を持ちたいと思う気持ちは当たり前だし、外川のような過去を持たなくても、一人きりで生きていくには人生は長いから、それは誰でも思うことなのかもしれない。
だけど。
「この人」、と思い定めた相手と子供を成し得なかったからといって、「こんなはずじゃなかった」と後悔するものだろうか。
……後悔はしなくても、子供を持ちたい、子孫を残したいという本能が、婚外子を作る、ということだろうか。
肉体的問題で子供を望めない女性なら、外川に応えることはなかったのだろうか。
そしてまた。
女性と関係を持つことのできる外川は、一生涯家族を持たぬ選択を維持できるのだろうか。
嶋の迷いや不安が胸に迫る。
けれど先のことなど誰にもわからないのだ。
女性に生まれたからといって、身体的に問題がないからといって、必ず子供が産めるとは限らないし、法的に婚姻できたとしても、その関係が生涯保証されるわけでもない。
誰にも何もわからない。
それならば。
今の二人の「気持ち」だけを信じるしかないということだ。
それが永遠とは限らないと、百も承知だとしても。
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