5.0
めちゃくちゃいい
始めて読んだ倉科作品がこの『女帝』で、一気にハマり他の作品にも次々と手を出しました
この『女帝』は、母子家庭で育った少女が、高校時代に実家が地上げに遇い、恋人に裏切られ、母を亡くし、自分達母娘を踏みにじった男達を逆に翻弄する女帝になると決意し、苦労しながら成長して行くサクセスストーリーです
倉科作品の大きな魅力のひとつに、登場人物達や彼等・彼女等が生きる世界がどこまでもリアルである点が挙げられます
私はネオン蝶の友人が複数居り、地元の繁華街でバーテンダーをしていたので、一般企業や昼間の店で働く方々よりは夜の世界を知っています
職場はアフターにもよく利用して頂いたので、ベテランのママさんに接客を教えて頂いたりしたものです
キャバ嬢やホステスといったネオン蝶達は女性が主役の世界で生きている為か、良くも悪くもとにかく女らしい!
優しさや気配り、愛らしさ、嫉妬、陰湿な苛め、派閥、陰口…etc.
全てがリアルな女性の生き様で、全てが愛おしいと私は感じていました
その中で、若くしてママになり自分の店を持つ女性は、やはり外見だけでなく内面の美しさも兼ね備え、品に知性、しなやかさや強さも持っていました
若くて可愛いだけのキャバ嬢はショットバーのバイトのバーテンが挨拶してもしれっとスルーしますが、ママさん方は向こうからお疲れ様ですと挨拶をして下さり、器の違いを実感したものです
その筋のお客様もいらっしゃいましたが、基本的に堅気には非常に親切な紳士が殆どでした
政治の世界は私には解りかねますが、これだけ複雑に多種多様の世界が絡み合い、そして綿密に取材されたリアルな描写!圧巻です
長いですが、一番オススメの倉科作品はやはりこの『女帝』なので、是非読んで頂けたらと思います
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