5.0
8年間の両片想い物語
自分が愛している相手に、自分の姉の身代わりに抱かれる…選択肢は二つ、鋼のメンタルで、そのままその立場に居続けるか、それとも、相手の幸せを願って身を引くか…ヒロイン志穂の選んだ道は、当然後者でした。
それにしても、この目まぐるしいご時世、いくら社長の子息令嬢同士とはいえ、高校生の頃から政略結婚の相手を決めちゃって大丈夫?8年もすれば、経営者トップなんて、すげ変わっちゃうよ?けれども、この設定がなければ、楓馬と志穂、二人の物語が始まらなかったので、よいことにしましょう。
物語当初から、志穂の葛藤と苦しみが描かれていて、読むのが切なくなってしまいます。が、よ〜く見れば、あ、これ、楓馬が志穂を好きなパターンや〜ん、姉の美穂は恋のキューピッドや〜んという描写が、あちらこちらに…。秋月先生、さすがです。だから、焦れ焦れしつつも、ハッピーエンドに向けて期待MAX、最後までワクワクしながら読み切ることができます。
腑に落ちなかったのは、同じ双子なのに、最後まで差別を続けた両親の存在。はっきり言って、志穂に対する精神的ネグレクトだよ。こんな両親に育てられたのに、美穂と志穂がまともな大人に成長したのは奇跡だと思う。美穂が言うように、ネグレクトに負けなかった志穂は、本当は強い子。そして、そんな志穂を大切に思っていた美穂、あなたもあなたなりの方法で、志穂を守っていたんだよね。
8年間の両片想いを経て、本当の意味で結ばれた二人。身代わりの婚約者として、恋に啼いたのは志穂だけど、きっと美穂も小野田先生との恋に啼いていたんだろうな。あれ、もしかして楓馬も?大人の都合に翻弄された3人が、それぞれの方法で自分らしく生きる道を模索した、愛と自立の物語、星5で超お勧めです。
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