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欠けているのは耽美の美
耽美的とか、倒錯的とか、背徳的とか、大袈裟に言えば谷崎潤一郎チックというか、まあ、そんなふうに言えないこともない。
主人公が恋い焦がれる美少女が決して漫画の典型的なヒロインではなく、結構嫌な女であるところもナチュラルでよかったし、この美少女が主人公の冴えない少年に魅かれた経緯も、よく漫画にある「何でそいつやねん」というラッキーパンチ的なノリではなく、「追い詰められたときにたまたまそこにいて救ってくれた」という文脈の中で表現されており、まあ、恋愛には往々にしてそういうことがあるわな、というそれなりの説得力があった。
二人の逃避行には、どこかクラシックな心中物のような趣があって、その点も嫌いではなかった。
しかし、何せ画力に難がありすぎる。
こういう作品は、どういったって一定レベル以上の画力でもって、やはり耽美の「美」を表現してもらわないことには、「漫画」としてはどうにもならない気がするのだが。
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