4.0
原作との相性
この原作者とこの漫画家のコンビは、「昨日公園」と同じだが、相性はばっちりだと思った。
原作小説の持つノスタルジックな雰囲気を、上手く再現できていると感じる。
大人が振り返る子ども時代の痛みや悲しみを抒情的に綴っている点は「昨日公園」に通じるが、「昨日公園」がヒューマンな手触りだったのに対して、本作のテイストはホラー寄りである。
子ども時代の「あれは何だったんだろう」的な追憶の恐怖表現はなかなか鮮やかで、このあたり、原作者の面目躍如かと思われる。
もちろん、繰り返し、それを漫画のフォーマットに落とし込んだ作画も素晴らしい。
ただし、オチの部分は、正直イマイチかと思う。
過去の恐怖体験が現在を侵食する、というのは悪くないが、狂気の所在を主人公自身に回収するのは、サプライズこそあったものの、ちょっと強引に過ぎたような気もする。
- 9