4.0
誰も彼も病んでて愚かで哀しくて痛々しくて、読むの結構しんどい。だけど、本当に単純な悪者キャラがいなくて、あの単なる"狭い田舎町の有力者の息子っていうだけで取り巻き引き連れてイキがってる井の中の蛙ヤンキー"みたいな玄にさえ、ちゃんと理由がある。柴ちゃん先生だって、"刺激のない田舎町の教師生活で、教え子との関係に酔って舞い上がってる勘違い女教師"という簡単な解釈では語れない。"可哀想な子を救う"という庇護欲とか英雄願望を拗らせてんのかなって思うけど。チャコに至っては田舎のオタク気質の女の子あるある過ぎて、もう痛々しい事この上ない。
この閉塞感って言うか、ドロッとした因縁に絡め取られて息ができないような、閉鎖的な田舎町特有の空気感がすごく上手く描かれていて、似非森とナギはその澱みを掻き回す劇薬なんだな。澱みを掻き回しても濁るばかりで先が見えない、そんな話だけど着地点が気になって読んでしまう。
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