3.0
そのテーマは届かない
人間でない生き物が人間を殺めることに、私たちはどう向き合えばいいのか。
例えば、ヒグマが人を殺してしまう、というような問題は現代でもあるわけで、自然保護とか動物愛護とかいう側面の問題と、人間にとっての脅威という問題のバランスやその歪さ、処分するしかないだろうという正論と、そもそものきっかけを作った人間側にそんな権利があるのかという極論と、自然保護なんて人間ありきの偽善でいいのかもしれないし、とか、そもそも人間だって自然の一部なんだし、とか、まあ色々と難しくて、私なんかにはよくわからない。
ただ、いずれにせよ、「罪」という観念自体が人間の創出した架空の産物であって、人間以外が人間に対して何をしようが、実のところ、我々はその「罪」を誰にも、というか何にも問えないのだ。
というようなことが、この漫画のテーマとして、あったのかな、というか、うーん、あったのかもしれないな、とは思った。
というのも、そのテーマ性みたいなものが、あまりに作品の前面に出てこない。
正直、これは難しいところで、あまりにそれを目立って語りすぎると、説教臭い、という空気を生んでしまうのだが、それにしたって薄すぎやしないか、という思いは終止つきまとった。
先に私が書いた諸々も、「深読みしすぎだろ」と言われたら、「まあそうかもね」と思ってしまう。
私自身、自分の妄念かもしれないと疑ってしまっている有様である。
それじゃ、仮にテーマがあるにせよ、読者には届かないだろうよ。
上記のテーマは、「寄生獣」でも扱われているのだが、一種のメッセージ性と、語りすぎないドライな側面と、「寄生獣」はやはり絶妙だったな、と思った次第である。
あと、タイトルの話だが、別に「蠱毒」じゃなくね?というのは、どうにも気になった。
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