どうでもいい
結婚、妊娠、新居のマンションに引っ越し…ところがそのマンションが何かおかしい、という話。
主人公は、誰かや何かに価値や愛情を持っているのではなく、結婚「というもの」をして、家庭「というもの」を持つことが幸せなのだ、と何の疑いもなく思い込んでいる人間で、私が最も嫌いなタイプの人間のひとつである。
この時点で相当げんなりしたが、まあ、それはいいとしよう。
ただ、サスペンス的な空気を漂わせているわりに、諸々の謎の吸引力のなさは致命的である。
誰もが秘密を抱えて生きている、的なことがテーマのひとつなのだろうが、それがまあ、あまりに薄っぺらくて、どうでもいい。
主人公を悩ませる奇妙な出来事も、誰かの悪意なのか、主人公自身の妄想なのか、それも、どうでもいい。
主人公が彼女の言う「幸せ」をつかもうが、目を覚まして新たな幸せを目指そうが、はたまた地獄に落ちようが、それも、どうでもいい。
もう、ひたすら、何もかもが、どうでもいい。
そんなふうに、何やら自暴自棄のような気持ちになる作品だった。
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2.0