3.0
小綺麗ではあるけれど
ジャンルとしては一応、SFということでいいのだと思う。
ロボット、アンドロイド、崩壊した近未来、という王道のモチーフである。
それなりに見せ場もあり、グッとくるような展開もあり、派手な破綻もなく、結末もひねりが利いていて、小綺麗にまとまってはいる。
しかし、上手く言えないが、作者はSFを描きたかったのだろうな、という感じは全くしない。
「そこに世界を創る」のがSFだと私は思うが、そういう志みたいなものは皆無であって、SFは単なる具材に過ぎず、描きたかったものは何か別のところにあるのだろう、とは思った。
ただ、じゃあ何を描きたかったんだ、ということになると、正直、よくわからない。
小綺麗で形は整っているけれど、どこか空虚な印象が終始付きまとい、私はそれが苦手であった。
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