5.0
マサルの純真、ジャガーの悪意
「マサルさん」と「ジャガー」の違いは、と考えると、それは「悪意」の所在なのではないかと思う。
花中島マサルは、いわば「天然」系の主人公だった。
というか、「マサルさん」の登場人物は、誰も彼も天然みたいなものだった。
あれは、誰にも悪意のない、誰も傷つかない、実に優しいギャグ漫画だった。
そういう意味でも、他人を貶して笑いに変えることがまかり通るこの世の中で、「マサルさん」は偉大な作品だったと思う。
しかし、ジャガーさんは全く違う。
彼は、悪意に満ちている。
ジャガーさんどころか、ハマーにも、ロボットのハミィにすら、悪意がある。
「ジャガー」は、「マサルさん」に比べて、かなりの毒を含む漫画であると思う。
しかし、その悪意や毒を、読者に全く「毒」とは感じさせない。
ジャガーさんがどれほど悪意に満ちた悪行をはたらこうとも、あくまでそれは、漫画の中では、優しく、マニアックでありながら妙にポップで、爽やかですらあるギャグへと昇華されている。
このあたりが、うすた京介の稀有な才能なのではないかと思う。
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