5.0
綺麗ごとや優しい嘘より響くもの
女子高生と教師の不道徳な関係を描いた漫画だと思って読むと、度肝を抜かれます。
そんな単純なテーマじゃない。
身近な人から性的虐待を受け、「自分さえ見ないふりをすればいい」と自分の目と耳をふさぎ、ふさぎながらも普通になりたくて、担任教師キヨに歪な形で助けを求める愛美。
夫婦関係の歪みを見ないふりをする両親に「自分を大切にしろ」「愛する人ができるまでそういうことをするな」と抑圧され続け、綺麗ごとじゃない本当の愛を探すためにキヨに迫った理央。
この二人の教え子に、情けない嘘をつくのが下手なキヨだからこそ出した答え。
愛美はそのキヨの姿に、「綺麗ごとじゃないからこそ」結果的に救われた。
理央には満足のいくものではなかった。
三人とも、その意味を今でもずっと探している。
二人の少女とキヨが、いつかその本当の意味を知る日が来ればいいと願わずにいられない。
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