4.0
漫画のセーフとアウト
度を超した毒舌だが腕はピカイチ、というスーパー美容外科医のストーリー。
エピソードは一話完結(サイトだと二話)で、サクサク読める。
顧客の容姿を必要以上に罵りまくる主人公のキャラクター設定がぶっ飛んでいて、面白かった。
こういうのが楽しいのは「漫画ならでは」の典型であって、私は「こんな医者が現実にいたら…」という突っ込みどころは気にならなかった。
「漫画だからセーフ」と「漫画とはいえアウト」の境界線は、読者の判断になるし、難しいところなのだけれど、この作品に関しては、私は「セーフ」として単純に楽しめた。
主人公がいきなり読者に話しかけるという演出も、このキャラクターに合っていて、上手く機能していると思った。
ただ、ちょっと引っかかったのは、整形のエピソードが「成功譚」ばかりであることだ。
主人公がスーパー美容外科医という設定上、施術を失敗しろとは言わないが、「美容整形は成功したけれど、それがその人の人生にとって本当によかったのかはわからない」というエピソードがもっとあったなら、作品により深みが出たのではないかと思う。
美の追求は素晴らしいことだが、同時に、怖いことでもあると私は思う。
だから、美容整形の明るい側面にばかりスポットが当たっている展開には、ちょっと浅はかさを感じてしまった。
限度を見誤れば、美への欲求は致命傷になる。
作品冒頭の「富は海の水に似ている。それを飲めば飲むほど喉が渇いていく」という引用は、まさにそういうことだと思うのだけれど。
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