5.0
お勧め作品
大手総合商社の専務鳳静は、日本の有名財閥である鳳グループの会長の子息。200年続く名家の直系の血筋、精悍な顔立ちに高身長、有能で実績もある。
海外赴任から帰国したばかりのある夜、高級ホテルのバーで出会ったのが黒咲瑠衣子だった。彼女と強烈な一夜を過ごしたことがきっかけで、瑠衣子にしか欲情しない体になってしまった。
偶然にも瑠衣子が自社の社員と判明し、専務付きの秘書にしプロポーズするものの、即座に断られてしまう。瑠衣子は過去のトラウマから、イケメンの金持ち御曹司が大嫌いなのだ。
ある夜、瑠衣子が自宅マンションに帰宅すると、そこにはかつての恋人桐生透が待っていた。彼は瑠衣子の大学の1つ年上の先輩で初体験の相手。
8年前ストーカーに悩む瑠衣子をあたかも保護するかのごとく振る舞い恋人になったが、彼自身が実は犯人だった。事実を知り、瑠衣子が別れを切り出すと、背後から斬りつけたのだった。
桐生家は代々政治家を輩出する家柄で、法曹界や警察にも顔が利く。息子の不祥事を揉み消せる力を持っていた。過去の犯罪に反省はなく、瑠衣子を執拗に追い詰める桐生は、明らかに常軌を逸していた。
怯える瑠衣子を桐生から守り、誠実に接する静。瑠衣子にとって、静がいつしかかけがえのない存在に変化するのに時間はかからなかった。
女性が主体の衝撃的な一夜の出会いも、女性に不自由したことがない御曹司の心理変化、サイコパスとの攻防戦と巧みなストーリー展開や扇状的な光景描写は見事としか言いようがない。
特に「俺は君の存在だけで欲情する」といった、女性なら一度は言われたい台詞が散りばめられており、瑠衣子に感情移入してしまう。
静と瑠衣子の結婚生活や、周囲にいる人間から見たサイドストーリーなど続きがあれぼ、是非読みたい。
- 4