5.0
ゲゲゲの鬼太郎と私
「あのとき、あの漫画に出会わなければ、別の人生になっていたはずだ」というような漫画が、人によっては、あると思う。
私にとってはそれが「ゲゲゲの鬼太郎」である。
だから、この漫画については、もう好きだとかファンだとか、そういうレベルではない。
生まれて初めて本気で好きになったものが「妖怪」だった。
私は幼少期を「妖怪のいる世界」に生き、大学では民俗学を学び、大人になった今でも、どこかに妖怪の影を探しながら暮らしている。
そういった全てが、「ゲゲゲの鬼太郎」に端を発している。
世界を作ったから神が崇められるのであれば、私が崇めるべきは水木しげるである。
彼が、私の世界のかなりの部分を作ったのだ。
いくら感謝しても足りない。
しかし、私からは一度も感謝の言葉を伝えられないまま、水木しげるは逝ってしまった。
それは少しだけ残念だ。
しかし、水木しげるのことである。
きっとあの世で妖怪やら霊魂やらと、楽しくやっているに違いない。
「ゲゲゲの鬼太郎」を読めば、それを信じることが出来るだろう。
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