おろち

あらすじ

激しい嵐をさけるため、おろちが立ち寄ったお屋敷。そこには美しい姉妹がふたりきりで住んでいた。姉・エミ17歳、妹・ルミ16歳。だが奇妙なことに、ふたりとも18歳になることを異常なくらい恐れていた。身の毛もよだつような、恐ろしい血筋の家に秘められたナゾとは…?(第1話)

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みんなのレビュー

  1. 評価:5.000 5.0

    「楳図かずお」というジャンル

    超能力みたいなものを持つ主人公の少女「おろち」は、狂言回し的な役割(アウターゾーンのミザリーとか、ウシジマくんとかのポジション)で、彼女が関わる様々な人々の物語を描いたオムニバス。

    独特の表現力と、キレのあるストーリーで、一話一話の完成度が非常に高い。
    怪しく美しい絵柄もさることながら、オカルトの要素を用いつつ、人間の醜さ、あさましさ、嫉妬や憎悪や執念の恐ろしさ、そして哀しさを炙り出すような手腕には舌を巻く。

    「恐怖漫画」というジャンルを確立した楳図かずおの功績は、今さら語るまでもないけれど、登場人物がただ叫んだり笑ったりするだけの表現が、他のどこにもないホラーになり得てしまうというその圧倒的なオリジナリティーは、もう、「楳図かずお」というひとつのジャンルであると言ってもいいくらい、凄いと思う。

    by roka
    • 12
  2. 評価:5.000 5.0

    ホラー漫画の原点

    ホラー漫画というジャンルを世の中に浸透させたのは、やはりこの方でしょう。
    この方の作品は常に、独特なテンポ、独特な台詞回し、ツッコミどころ満載の滑稽さ、そして何より圧巻の画力が本当に素晴らしいと思います。

    子供の頃に何の娯楽もない、ど田舎の祖父母宅での長期滞在時に、地域にひとつしかない本屋さんで買ってもらったのが、楳図かずお作品との出会いでした。
    美しい絵に乗せて醸し出される恐怖は、幼い私をいとも簡単に戦慄させ、祖父母宅のぼっとんトイレをより一層おぞましくさせたものです。
    それも今ではいい思い出w
    幼い私が、そんな怖い思いをしてでも夢中になって読まされてしまう、不思議な魅力が詰まっていました。

    この作品はどちらかというと、ホラー要素よりは人の業や悲哀に絡めた怖さを感じられる一冊で、大人になった今、改めて読み返すとまた違った発見があります。
    そして相変わらず、何ともいえない女性の美しさに魅了されます。
    出来ればこちらで、もっともっとたくさんの楳図かずお作品を読めたらいいのになと思います。

    by spica*p
    • 4
  3. 評価:4.000 4.0

    さすが

    さすが巨匠楳図先生。
    時代設定もあるけど、何か凄い。
    絵もスクリーントーンを使わず、白と黒だけで書き込む画力。
    余計恐怖心を煽る絵です。
    擬音や悲鳴も何か不気味。

    あと、よくよく見ると女性の描き方が凄い。
    めちゃくちゃ美人。
    昭和中期の美人って感じでしょうか。

    ストーリーも短編なので読みやすいです。

    この漫画ってホラー漫画なんだけど、心霊現象、心霊体験とか未確認生物じゃなくて、人間が怖いんですよね。

    結局人間が一番怖いって漫画ですね。

    by 匿名希望
    • 3
  4. 評価:5.000 5.0

    人間心理の闇に迫る

    人間が受け入れられない局面に対峙した時一体どうなるのか。恐怖漫画ですから恐ろしい方向に持っていくのは当たり前なのですが、もしかして本当にこのような心理に陥るのではないか、と考えさせられる。人間の精神が壊れた時の恐ろしさを美しく描いている。また、不気味なのになぜかユーモアさえ感じられる登場人物の表情。展開がうまく、先が知りたくなる運び方、意外な結末など、やはり楳図氏は唯一無二の漫画家だと思いました。

    • 1
  5. 評価:5.000 5.0

    世にも奇妙な物語りの様な話し

    楳図かずおの漫画に出会ったのは小学生の時。恐怖漫画が大好きな従姉妹の家に行った時、初めて読んで、怖いけれど続きが気になって気になって夢中になって読みました。その頃は、この真っ黒な画面が好きにはなれませんでしたが、時が立った今、この絵の迫力に圧倒されます。
    「おろち」は不思議な少女の目を通してみた物語り。人間の奥底にあるドロドロしたものを垣間見ることができます。

    • 0

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