4.0
現代的ヒーローの形
私は画力については門外漢だが、それでも、描き込みの細かさからくる迫力には感心した。
内容については、世代的に、私は「寄生獣」を連想した。
が、同時に、時代かなあ、とも感じた。
「寄生獣」は、ある種のヒーローアクションの背景として、生態系や環境問題、人間の生命と地球の生命、といったテーマが流れていた。
今思えば、それも時代だったのだろう。
この漫画の「ヒーロー」たちのバックグラウンドは、極めてパーソナルなレベルの欲望で、また、それらは非常に多様化しており、もうぐちゃぐちゃである。
見方によっては、それが現代だ、ということになるのかもしれない。
ヒーローが単なるヒーローとしてはもはや存在し得ず、純粋なる「善」など既に病であって(禊というキャラクターがそうであったように)、「平和」すら一種の宗教のように肥大していく。
そんな時代にあって、いったい何を信じて、どう生きればいいのか。
そんなこと、簡単にわかるわけがないし、ヒーローであるはずのジャガーンにも、全くわかっていない。
というか、ジャガーン自身が、その迷いの真っ只中にいて、あっちへふらふら、こっちへふらふら、流されたり、決意したり、刹那的になったりしながら、何とか生きている。
それは、現代を生きる多くの人々の姿とシンクロするし、そういう意味では、実に現代的なヒーロー漫画と言えるかもしれない。
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